残虐を極めた金正日・独裁体制の実態――政府は一刻も早く拉致被害者を救出せよ!

平壌金正日総書記の葬儀が行われた12月28日、東京・文京区で「金正日の犠牲者に思いを寄せる12/28東京集会」が開かれました。

「この日は金正日を追悼する日であってはならず、金正日による犠牲者に思いを寄せる日であるべきだ」として、「救う会」や北朝鮮による拉致被害者家族連絡会特定失踪者問題調査会等が企画したもので(実行委員長=「救う会」の西岡力氏)、横田滋・早紀江さんご夫婦らもパネリストとして参加され、会場には約200人の支援者らが詰めかけました。

集いでは、普段から日本のマスコミが一切報じない、北朝鮮国内での強制収容所や虐殺や虐待など、金正日・独裁体制の人権侵害の実態が、下記のように次々と報告されました。

強制収容所にはこれまで100万もの人が収容され、その多くが死んで行った。現在も20万人が収容されている。300万人が餓死し、合計700万人の自国民が殺された。

北朝鮮では、独裁政権打倒に立ち上がった若者たちもいたが、そうした若者は家族全員が連座制で収容所に入れられた。その結果、そうした動きは完全に封じられてしまった。

・日本のマスコミは、金正日死去に関して多くを報道しているが、大部分はどうでもいい報道ばかりで、強制収容所の実態などについては一切報道しない。その結果、日本国民、国会議員も、金正日の犯した悪行に関する認識が極めて低い。

・識者やマスコミは、「北朝鮮の安定化が必要」と訴えているが、それは北朝鮮の国民や拉致被害者にとっては、「地獄の安定」。

独裁政権の悪行を許すことは、悪に加担すること。北朝鮮の安定化を望むということは、悪魔の手先と同じ――。

改めて語られる金正日・独裁体制下の想像を超えた人権侵害の実態に、多くの参加者は驚きを隠せませんでした。

そして檀上には、特定失踪者(政府が認定した北朝鮮による拉致被害者とは別に、北朝鮮による拉致の疑いが否定できない特定失踪者。その数は250人以上に及びます)の家族や親戚10人が立ちました。

そして、「私の娘は自宅近くから20歳で失踪し、来年40歳になります。今も一切情報はありません」「40年前に子供が失踪し、私も70歳になった。私が生きている間にいい話を聞きたい。なんとかお力を頂きたい」と、切々と訴えました。

また、家族会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)の事務局長・増元照明さんは、「なぜ、日本の政府も有識者も『被害者を保護せよ』という発信をしないのか。今ある危機を、拉致被害者への危機に対して、もっと言わなければならない。
野田総理北朝鮮に対し、もっと発信してほしい。国会議員も、政局をやっている場合ではない。北朝鮮の危機に真剣に向き合って欲しい。あまりに危機意識が足りない」と訴えました。

この集いで、いみじくも多くの発言者が共通して訴えていたことがあります。

それは、野田首相を始めとした日本の政治家とマスコミに、北朝鮮金正日総書記が行ってきた虐殺と虐待、拉致など、国内外で犯してきたすさまじい犯罪行為への認識が欠如していること。

そして、そうした悪を糾弾し、その上で正義を実現しようとする意思と言葉が欠落していることへの指摘でした。

確かに、連日の日本のマスコミ報道は、総じて今回の金正日総書記の死去を、あたかも普通の国の元首の死去と同じように報じています。

それゆえに、内容がどうしても、後継者の動向や、権力継承の分析に終始しがちです。

しかし、死去した当の金正日総書記は、数多くの日本人の拉致実行命令を発し、今も拉致被害者やその家族を塗炭の苦しみに陥れている張本人であります。

そして、数百万の自国民を強制収容所や飢餓で殺害した、ヒトラーと並ぶ残虐な、文字通り極悪非道の独裁者であり、犯罪者です。

そうした隣国の「悪行」に対して、「善悪を分ける」視点を持たず、「正邪」の価値判断を意図的(もしくは無意識)に避け続ける日本の政治家やマスコミの在り方に、現在の日本の宿痾(しゅくあ)が見えてきます。

すなわち、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持する」と決意させられた憲法前文と憲法9条によって、国家の主権を守る決意と意思を奪われて久しい日本の姿です――。

拉致問題の本質は、犯罪国家・北朝鮮の加害と同時に、それを許し、さらにその後、被害者の救出すらままならない日本という国家の「主権意識と正義の欠陥」にあると言えるでしょう。

日本の国家再生への道は、そうした国家の主権意識と、主権を侵す「悪」に対しては交戦権も辞さないという、当たり前の国家としての「気概の回復」にこそあります。

幸福実現党が主張する、「憲法9条の改正」であり、「憲法解釈の変更」(前文に謳われた『平和を愛する諸国民』とは言いがたい中国、北朝鮮に対しては、憲法解釈を変更し、9条の適用対象外とする)という政策の意味と目的は、まさにここにあるのです。(文責・矢内筆勝)

メルマガ「幸福実現党HRPニュース」から転載

NHK大河「平清盛」に非難囂々・・・

12/1/11

今年のNHK大河ドラマ平清盛」に抗議のFAX殺到で、非難囂々(ヒナンゴウゴウ)らしいですね。

私も初回少し見ましたが、 あまりのひどさに驚愕し消しました。

子供も沢山見ている番組なんですから、伊東四朗(父)と壇れい(娘)のカラミシーンは、気分が大変悪く、ゾーっとしました。

内容も日本人を知らない「外国人」が作ったようなドラマです。

なんですか、あの「王家、王家」の連呼は・・・・・。

あきれました。

ウマヤドさんがツイッターで下記のように嘆いていましたよ。

「無能な天皇、醜い法王、乱れた「王家」…
NHK 大河が描く朝廷の姿。

(潮 匡人) #平家物語 」
「2009年の坂本龍馬篤姫、お江につづく平清盛
お江は織田信長ageでもあるわけで、「坂の上の雲」が抗議のために貶め不十分で終わったから、「皇室糾弾」ドラマとして平清盛を決定したんだろうね。
★プロジェクトJAPAN|NHK http://t.co/TwQuD6Nn #平清盛


もうNHKはつぶれてもらわないと、日本神道系の神様の怒りはかならず、来ます。このままでは、富士山あたりが今年危ないですよ・・


ちょっと古いですが、藤原正彦先生の「日本の教育に提言する」番組です

YouTube
中曽根康弘 & 藤原正彦 日本教育のここがダメ!(1)
8:36

http://m.youtube.com/watch?desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3D0WRz2PQX5cs&v=0WRz2PQX5cs&gl=JP


そして、もうひとつNHKの放送に対する意見

参議院外交防衛委員会 下條正男 参考人拓殖大学教授)韓流】 韓国ドラマは 洗脳ドラマである

動画 2(YouTube)
http://m.youtube.com/watch?desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3Dftjwg8sBlXA&v=ftjwg8sBlXA&gl=JP

動画 3(YouTube)
2011.05.26 国会参考人 下条正男教授

http://m.youtube.com/watch?desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DVQLDvxHYr_Q&v=VQLDvxHYr_Q&gl=JP

参院外防委での参考人で登場 日韓図書協定 韓国竹島問題などぶった切る!

NHKの正体などすばらしい国会での意見です。
これからの日韓を考えるにあたり非常に勉強になります。

ブログ
悲しみの星サラスから・・・
希望と幸せに満ちた星アルスへ から転載

被災地支援へ企業が次々移転 さらなる大胆な規制緩和を

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3682
>
> 東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県で、雇用保険の失業手当の給付が13日から順次切れていっている。失業中の地元の人々にとって、求人は非正規雇用の建設関係が多く、ミスマッチから再就職が難しいケースも多いという。
>
> 一方で、被災地で雇用を生み出して復興を支援しようと立ち上がる民間企業も次々と現れている。
> 広島県尾道市の造船会社「ツネイシクラフト&ファシリティーズ」は、岩手県山田町に子会社「ティエフシー」を設立。11日、現地で採用した男性5人の研修が始まった。5人は造船の経験はなく、造船技術の基礎から学び、研修後はベテラン技術者の指導を受けながら、アルミ製小型船の建造業務に就く予定だという。
> 陸前高田市には、高齢者向け宅配事業の「ワタミタクショク」(東京都大田区)が2月にコールセンターを開設、約100人の採用を予定している。
> また、宮城県石巻市でも「築地銀だこ」などを運営する外食チェーンホットランド」が群馬県から本社を移転させ、関連会社で約100人が働いているという。
>
> 岩手県の調査によると、雇用の創出を目的に同県への進出を決めた県外の企業は18社あり、約600人が再就職を果たしているという。
> 民間企業がそれぞれ培ってきた経験やノウハウで、政府の復興対策を補っている。
>
> 政府は1月から、新たに立地する企業の法人税を5年間免除する「産業再生特区」を被災地でスタートさせるが、「特区内に本社がないといけない」など制約が多く、十分機能するか危ぶまれている。農地転用についても規制緩和をするとしているが、どの程度の自由化なのかは見えていない。
>
> 18日に発刊される大川隆法著『国家社会主義への警鐘』(幸福の科学出版刊)では、以下のように指摘している。
> 「『どこでもいいから好きなところを開発し、工場を建てるなり、家を建てるなりしてください。早い者勝ちで、その人のものになります』というようにしてしまったら、あっという間に開発が進んでいくかもしれませんね」
> 「役所が上で仕切っている以上は、最終的に、自由というものはないでしょうね。だから、特区などと言わずに、もう日本ではないことにしたらいいんですよ。外国の人たちも、日本になかなか入れなくて困っているので、自由に入れるようにしてあげてもいいかもしれませんね」
>
> 復興とは単に元の生活を復元することではない。新しい仕事が生まれ、たくさんの人が生活できるようになることだ。そのために、民間企業が新しく工場を建てたり、人が移住してくることが重要だ。日本全国だけでなく、世界からも企業や人が集まるぐらいの大胆な規制緩和が求められている。(清)
>
> 【関連記事】
> 2012年2月号記事 保守の中の左翼に警戒せよ―公開対談抜粋レポート「国家社会主義への警鐘」
> http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3582
>
> 【関連書籍】
> 幸福の科学出版ホームページ 大川隆法著『国家社会主義への警鐘』(幸福の科学出版)
>
> http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H7014.html
>
>"ザ・リバティweb"ニュース から転載

震災を機に東北地方で植物工場が次々と建設へ

> http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3644
>
> 農林水産省は、宮城県の沿岸部に最先端技術を使った大規模農場をつくる。
> 5日付日本経済新聞によると、東京ドーム50個分にあたる200〜250ヘクタールでの広さ、津波で被害を受けた農地を国が借りて実験農場をつくる。
> 富士通日立製作所、シャープなどと連携し、農作業ロボットや無人ラクター、農作物の生育状況を把握するセンサーシステムなどを導入する。
> 成功すれば農業再生のモデルにしたい考えだ。
>
> ほかにも、仙台市では、すでに外食チェーンサイゼリヤが来年3月からトマトを栽培する植物工場を稼動させることが決まっており、カゴメ日本IBMも、温室による野菜栽培の共同研究を始める。GEの日本法人も植物工場を宮城県に建設する予定だ。
> 本誌でも度々取り上げてきた植物工場のアイデアが、震災を機に一気に現実化してきたわけだ。
>
> 大川隆法幸福の科学創始者兼総裁は、震災4日後の昨年3月15日の段階で、「ガッチリとした鉄筋コンクリートのビル内に野菜工場を設ければ、"流されない農地"をつくることができます」と、植物工場建設の提案をしている(法話「震災復興への道」後の質疑応答)
> 幸福の科学では、ビルの中で農業を行う植物工場のアイデア自体は、すでに80年代に出しており、それが今ようやく現実化してきている。
>
> 震災は大きな悲劇をもたらしたが、一方で新たなイノベーションの機会ともなりつつある。被災地を利用した実験農場には大いに期待したい。(村)
>
> 【関連記事】
> 2011年1月号記事 2031年日本の未来構想(4)100億人を食べさせる!
> http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=329
>
> 【参考書籍】
> 幸福の科学出版ホームページ 大川隆法著『震災復興への道』(幸福の科学出版刊)
> http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H7009.html

捕鯨戦争最前線 〜 日本代表の戦い

 多勢に無勢のIWC(国際捕鯨委員会)で、日本の国益を主張し続けた水産官僚がいた。

■1.シー・シェパード(SS)への反撃

 最近、次のような興味深いニュースの報道があった。[1]

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 米反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の調査捕鯨妨害を阻止しようと、政府の許可を受け調査を実施している日本鯨類研究所(東京都中央区)が、SSの本部のある米ワシントン州の連邦地裁に対し、妨害の差し止めと船団への接近禁止を求める訴訟を一両日中にも起こすことが8日、分かった。

併せて差し止め仮処分の申請も行う。負傷者が続出し、昨季には調査打ち切りに追い込まれたSSの妨害をめぐり、日本側が海外で法的手段に出るのは初めて。
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 火炎瓶を投げつけたり、船で体当たりするなど暴力行為をしてきたシー・シェパードに対して、法に基づく反撃を行うというもので、声援を送りたい。

「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とは、日本国憲法の前文の一節である。しかし北朝鮮の日本人拉致、尖閣諸島での中国漁船の体当たりなどを見れば、「公正と信義」を信頼できる諸国民ばかりではないことは、明らかである。

 こうした法的な戦いを通じて、不当な輩を訴えていくことが、不正がまかり通る国際社会で「公正と信義」を少しでも増進していく道だろう。

 捕鯨問題とは、弊誌でも今まで見てきたように[a,b]、科学的事実も論理も無視した一部の活動家たちとそれに動かされた国々が、「公正と信義」を踏みにじってきた世界である。そんな世界で日本の国益を担って、敢然と戦ってきた人がいた。その人、元・農林水産官僚の小松正之氏の戦いぶりを辿ってみたい。


■2.「その場その場のごまかしもいい加減にして貰いたい」

 まずは、小松氏の戦いぶりを分かりやすい一場面で見てみよう。小松氏はIWC(国際捕鯨委員会)で、反捕鯨国がNGO(非政府団体)を議場に入れることに腹立たしい思いをしていた。

 マスコミはシャットアウトされているので、NGOのメンバーが会議終了後に待ち受けていたマスコミに「議論紹介」と称して、好き勝手な事を吹聴するからだ。曰く「日本の捕鯨は条約違反」「鯨肉をたくさんとってきて、高級レストランに売っています」等々。小松氏はほんとうの意味での透明性を高めたいと思っていた。

 1998(平成10)年のオマーン総会の財務委員会でのこと。この委員会は政府代表団のみが参加できる会合で、NGOには非公開と定められていた。

 ふとアメリカ代表団の方を見ると、NGOの青バッジをつけた連中が紛れ込んでいる。小松氏は「なぜこのような重要な財政問題を話しあう場に、ルールに反してまで関係のないNGOが出席しているのか」と詰問した。アメリカ代表団は「この問題は、NGOが特別に関心があるので、米代表団に登録していれた」と答えた。

 小松氏はこう主張した。

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 そもそもアメリカ代表団にNGOを入れること自体が間違いだと
思うが、あなた方の主張に沿ったとしても、入れるなら入れるで、なぜ会議の前に代表団の一員として登録をし直し、そしてバッジを明確に分かるように黄色に変えないのか、不適切ではないのか。
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 米代表団は「彼らは(コーヒーを入れたり、書類を配ったりする)サポーティング・スタッフなのだ」という。しかし、そんな仕事は一切せず、座って話を聞いている。それがどうしてサポーティング・スタッフなのだ。「その場その場のごまかしもいい加減にして貰いたい」と小松氏は問い詰めた。


■3.「こんな簡単な規則すら守れない会議などやっていられるか」
 事務局に「いったいどうなっているんだ」と問い詰めると、「問題はとくにありません」としれっと答えた。

 大ありだ。「こんな簡単な規則すら守れない会議などやっていられるか」と小松氏以下、日本代表たちは席を立った。捕鯨国のソロモン諸島カリブ海諸国も、アメリカと事務局の対応に憤慨して、議場を出ていった。翌日、アメリカ代表が、コミッショナー会議で、米代表団の行動について謝罪した。

 真の透明性を謳うなら、限られたNGOだけでなく、メディアを会議場に入れて、実際にどんな議論が行われているかを聞いて貰うべきだ。そう考えた小松氏は、「メディアへの公開」を訴えた。

 日本からの提案に「テレビカメラのコードに足をひっかけたら危ないじゃないか」などと、理由にもならない反対意見が出たが、まったく説得力はなく、2000(平成12)年からテレビカメラを議場に入れることになった。

 この一件が、国際会議や国際交渉に臨む小松氏の姿勢をよく表している。原理原則に照らして、自らが正しいと思うことを敢然と主張する。その姿勢が、日本が捕鯨問題で筋を通してこられた理由であった。


■4.落ち込んだ日本代表団

 1994(平成6)年のIWCメキシコ総会では、南氷洋サンクチュアリが採択された。サンクチュアリとは「聖域、禁猟区」の意味で、南氷洋での捕鯨行為を禁ずるというものである。

「資源状態にかかわりなくサンクチュアリを設定する」という提案は、そもそも「科学的根拠を規制措置の導入の可否の判断にする」というIWC条約そのものに矛盾したものであった。

 科学的根拠もないまま、数の力で抑えこもうとする反捕鯨国側に対して、小松氏は「こんな横暴と不正がまかり通ってよいわけがない」と憤っていた。

 おりしも、サンクチュアリと同時に、日本の南氷洋の調査捕鯨がさんざんに叩かれた。たとえば反捕鯨国であるオーストラリアのある科学者は、調査捕鯨では本来すべての年齢層のサンプリングをすべきなのに、日本の調査は4歳以下のミンククジラをサンプリングしていない欠陥調査である、と指摘した。

 日本側も若齢クジラの捕捉ができていないことは気づいていた。調査海域では若いクジラがいなかったのだ。そして、この批判を受けた日本の科学者は、反論もできず、狼狽してしまった。

 唯一の武器だと思っていた南氷洋の調査捕鯨が、厳しい批判にされされ、日本の代表団全体が、もう調査捕鯨は終わりか、と落胆していた。


■5.日本代表の屈服

 しかし小松氏は違った。他人の批判は宝の山である。反捕鯨国が日本が見落としていた調査のほころびを見つけてくれた、と考えた。

 それまではオーストラリアとニュージーランドの南を東西120度の範囲で調査していた。データを見ると、それを東西に30度ずつ拡大して、180度とすると、若齢クジラを捕捉できる可能性があることは、それまでのデータが示唆していた。

 そこで調査海域を広げて、捕獲枠も300頭から440頭へ増やす調査計画を建てた。さらにDNAによるクジラの系統群の調査なども加えた。こうした調査計画を小松氏は土日返上で一年ほどで作り上げた。

 こうして2009(平成21)年のダブリン総会に臨んだ。科学委員会では調査計画を評価する報告書がまとめられた。しかし、本会議は科学委員会の議論とは関係なく、「自粛決議」を打ち出してきた。彼らも必死である。せっかくサンクチュアリ決議を通したのに、逆に日本が南氷洋の調査捕鯨を強化するというのだ。

 しかし、調査計画は科学委員会からも認められたものであり、それを実施することは捕鯨条約上の権利でもある。アメリカが本会議で「自粛しろ」と決議しても、何ら拘束力はない。

 しかし、日本側代表は米国側代表と会談に呼び出されると、圧力に屈したのか、「捕獲枠は330頭にするから、自粛決議をやめてくれないか」と切り出してしまった。


■6.「アメリカが経済制裁を加えてくる事はないだろう」

 帰国後も政府部内で議論を重ね、やはり440頭で押し通そうということになった。小松氏は自らアメリカに飛んで、説明した。

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 アメリカは、グリーンピースに代表される環境団体の存在が見え隠れするので、建前上、反対する。アメリカ側としては「反対」の一点張りで、しかし、だからといって具体的に制裁や圧力、妨害をかけてくるかといえば、そういうわけではない。

「反対だから何々をします」といわない以上、実質的な妨害はしないものと捉えていい。そして、それは交渉当事者の表情と口ぶりで、だいたい分かるものである。[2,p109]
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 アメリカが経済制裁を加えてくる事はないだろう、というのが、小松氏の読みだった。GATT(関税および貿易に関する一般協定)では、資源状態が枯渇した品目に対して貿易禁止などの制裁を課すことができるとされているが、クジラの頭数はいまや十二分に回復して、溢れていると言っても良い状態だった。

 GATTで争えば、アメリカが負けるのは自明だった。結局、アメリカの反対を押し切って、日本は調査捕鯨を拡充した。アメリカは国内世論に配慮して、反対したという姿勢を見せただけだった。

 サンクチュアリが導入されて以来、失意のどん底にあった国内では、喜びの声があがった。鯨類資源の豊富な南氷洋で「持続利用の原則」に則った反転攻勢に出られたのだ。


■7.相手と「俺、お前」の関係を築く

 小松氏は、この交渉を振り返って、こう述べている。

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 アメリカがこういった対応をすることは予想がついていた。これも交渉の駆け引きの一環で、ひとえに向こうの国内事情などについて勉強すれば分かるのである。

そして人と人との付き合いもそうだが、国と国との交渉も、相手を尊重し、敬意を払い、十分な説明と意思の疎通を図ることによって確立される。[2,p110]
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 こうした交渉のベースとして、相手と「俺、お前」の関係を築くことが大事だ、と小松氏は強調する。

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 われわれは国を代表して交渉に臨んでいた。国家の利益を第一に考える、国の総意を体現するといっていいかもしれない。しかしわれわれと同じく、交渉する相手だって人間だ。外交交渉は、国と国の話し合いであると同時に、人間同士の話し合いでもある。

交渉相手、または同じグループの人間と、いかに良好な関係を結べるか、それも交渉において非常に重要な点である。

 案件は案件、人間関係は人間関係。主張することによる尊敬と意見の対立。これらはまったく別個のものであり、両立する。[2,189]
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 実際、反捕鯨側で激しく対立していたアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの人々は、いまでも「小松さんの訪問を歓迎します」と声をかけてくるそうだ。

 日本人はとかく意見の対立を嫌うがために、国際交渉の場でも、先の日本代表のように、とにかく妥協を急ぐことが多い。これでは、国益を損ねるだけでなく、互いへの理解と敬意も生まれない。

 互いに祖国のために戦う戦士の間には、相手への尊敬が生まれると言われるが、それは死力を尽くしての戦いの後に生まれる共感であろう。戦う前から、武器を捨てて、とにかく仲良くしましょうという相手には、敬意も共感も抱けない。


■8.「人類のための捕鯨を」と主張すべき

 冒頭で、小松氏が「原理原則に照らして、自らが正しいと思うことを敢然と主張する」ことを大切にしてきた、と述べた。

 この点で、小松氏自身は「捕鯨とは日本単独の利益追求ではなく、人類のために捕鯨資源を利用しようということをもっと強く打ち出すべきだった」[1,p93]と反省している。

 反捕鯨国のアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランスなどは牛肉の輸出国である。彼らはクジラの愛護だとか、絶滅を防ぐ、などと科学的な根拠も無視して主張しているが、その本音は牛肉輸出を護りたいという事ではないか、と弊誌は勘ぐっている。

 環境を破壊せずに、人類に豊富な食糧を提供しうる捕鯨のパワーを彼らは恐れているのではないか。

 肉牛を育てるには、肥料や地下水を使ってトウモロコシなどの飼料を育てなければやらねばならない。また排泄物そのものが環境負荷となる。増大する地球人口を養うには、牛肉では間に合わない。

 それに対して、クジラは食物も排泄も海中の自然循環の中で組み込まれている。科学的な調査に基づき、乱獲さえ気をつけていれば、いつまでも持続可能な資源なのだ。

 日本が捕鯨に拘っているのは、それが自然環境を保全しつつ、人類に十分な栄養を供給する道だからだ、と主張することが大切だろう。そのためには、まずは日本国民自身がこういう使命をよく自覚する所から、始めなければならない。

(文責:伊勢雅臣)

■リンク■

a. JOG(097) クジラ戦争30年
 捕鯨反対運動は、ニクソンの選挙戦略から始まった。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_2/jog097.html

b. JOG(660) 捕鯨は地球を救う
 増えすぎたクジラを捕る事で、食糧危機と環境危機に立ち向かう事ができる。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h22/jog660.html

c. JOG(662) 日本人はクジラの供養塚を建ててきた
 我が先人たちはクジラの命に感謝して無駄なく利用し、その上でクジラの霊が成仏するように祈ってきた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h22/jog662.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. msn産経ニュース、H23.12.9「シー・シェパード提訴へ 日鯨研、米連邦地裁に 調査捕鯨妨害差し止め」

2. 小松正之『世界クジラ戦争』★★★、PHP研究所、H22
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4569775861/japanontheg01-22/

メルマガ「国際派日本人養成講座」から転載

天台・真言座主の言葉と、大川総裁説法との差 東日本大震災をどう語ったのか?

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3660
>
> 2011年3月の東日本大震災で犠牲になった方々や遺族に対して、どんな言葉をかけることができるかは、宗教家として極めて大切な仕事の一つだ。
>
> ローマ法王は4月、日本に住む7歳の少女に「なぜ子供たちはこんなに悲しまなければならないのですか」と質問され、「私も同じように、『なぜ』と自問しています。いつの日かその理由が分かり、神があなたを愛し、そばにいることを知るでしょう」と回答した。
>
> 8日付の読売新聞で、天台宗座主と高野山真言宗金剛峰寺座主の対談が掲載され、大震災について次のように語っていた。
> 半田孝淳・天台宗座主「震災後の5月11日に宮城県気仙沼市に行き、慰霊の法要をさせていただきました。無残な状態で、どうご同情申し上げたらよいか分からず、涙をこらえ手を合わせました」
> 松長有慶・金剛峰寺座主「山(高野山)にこもり、一人でも多く助かってほしいと祈り続け、未曾有の災難を受けた日本人がこれからどうしたら良いのか考えていました」「これからは、生活水準を低下させてでも、人間の利益だけを考えず、地球全体を考えねばならない」
>
> 特段のコメントはしないが、大川隆法幸福の科学総裁の大震災後の説法を一部紹介しておきたい。
>
> 3月12日説法「諸行無常の風に吹かれて」
> ・仏や神を軽んずる風潮、唯物論的な風潮が勝利したと宣言しているときに、こうした天変地異が起きている。(中略)宗教的には天の警告だと見るべきです。
>
> 5月28日説法「魂の救済について」(仙台市内)
> ・(※犠牲者に向けた言葉として)この世は仮の世であり、今、実在の世界に還ったのですから、何も後悔することはないのです。そちらの世界で幸福になることが、本来の生き方であって、この世は魂の修行の場であり、何十年か肉体を頂いて修行しているだけなのです。
>
> 5月29日説法「逆境の中の希望」(岩手県内)
> ・私は、「何とか、物事を積極的に大きく考えて前進させていきたい。今、精神的な主柱を立てることに成功すれば、この国は、まだまだ、発展、成長することが可能である。戦後に起きた奇跡を、もう一段、大きくしていくことは可能に違いない」と考えているのです。
>
> 説法の際は、被災者と直接質疑応答を行っているほか、3月15日説法「震災復興への道」や3月24日説法「貧乏神と戦う法」などで、復興ビジョンとその具体的な計画、必要な精神的態度などについて説いている。
> ローマ法王、天台・真言宗座主の言葉と、大川総裁の説法を比べる中に、日本で今、何が起こっているのか読み取ってくれることを願う。(織)
>
> 【関連記事】
> 2011年4月24日本欄 僧侶の本分は「遺族に寄り添うこと」ではない
> http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1820
>
> 【関連書籍】
> 幸福の科学出版ホームページ 大川隆法著『逆境の中の希望』
> http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H0322.html
>
> 幸福の科学出版ホームページ 同著『震災復興への道』
> http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H7009.html
>
>ザ・リバティ"webニュース から転載

「いかに国益を増進するか」

 12月1日付の本紙「正論」欄に竹中平蔵氏がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)賛成論を展開し、その中で次のように述べておられる。TPPへの交渉参加は当然であり日本にはそれ以外の選択はないとした後で「自由貿易が国民全体に大きな利益をもたらすことはアダム・スミスの『国富論』以来、世界が経験してきた共有の理解だ。日本自身これまで自由貿易で最も大きな利益を得てきた国の一つといえる」と。このたった数行の短い文章を読んで多くの人は腑(ふ)に落ちるのだろうか。私はたちどころに4カ所も引っかかってしまう。随分と乱暴な議論だと思う。

 第1に、「自由貿易が国民全体に大きな利益をもたらす」という命題。これがほぼ机上の空論であることはいまさら言うまでもなかろう。まず、現代のあまりに金融経済が肥大し、技術移転が容易になったグローバル経済と自由貿易体制とは大きく異なっている。しかも、それが「国民全体」の利益になる、などという理屈はどこからもでてこない。そもそも「国民全体の利益」とは何なのだろうか。

 第2に、この命題はアダム・スミスが述べたかのように書かれている。しかしこれも決して正しくはない。「国富論」を少しでも注意深く読めば、スミスが決して単純な自由貿易論者ではないことはすぐ分かる。スミスは当時のいわば金融グローバル化政策というべき重商主義に反対したのだった。彼は、自由貿易にすれば、投資家はまずは国内の安全な産業に投資をするので国内産業が活発化する、といったのだ。

 第3に、「(これは)世界が経験してきた共通の了解だ」という。あれこれ述べる必要もなかろう。自由貿易が世界共通の了解だ、などということはありえない。中国はどうなのか、ロシアやインド、ブラジルはどうなのか、アラブはどうかなどという疑問はさておいても、先進国でさえも、イデオロギーはともかく実際には決して自由貿易を共通了解にしているわけではない。もし暗黙の共通了解があるとすれば、それは、広義の自由経済の枠組みを守りつついかにして戦略的に国益を増進するか、という点だけである。

 もしもそれが「世界の共通の了解」になっているのならば、どうしてWTO世界貿易機関)がうまくいかないのか。WTOがうまくいかなかったからこそ、FTA(自由貿易協定)や今回のような地域的経済連携がでてきたのではないか。

 しかも、TPPは決してグローバルな自由貿易ではなく一種のブロック経済である。だからこそ推進派のかなりの人が、中国を政治的・経済的に封じ込めるべきだ、という。竹中氏自身は封じ込め説ではないようだが、それでもTPPの基礎に日米同盟があると書いておられる。つまりTPPとは政治的・経済的ブロックだと言っているのである。

 第4に、「日本はこれまで自由貿易で大きな利益を得てきた」という命題。これも決して無条件に正しいわけではない。日本が閉鎖経済でもなく社会主義でもなく、広い意味で自由経済圏にあり、そこに戦後日本の経済発展の基盤があったことは事実であり、そんなことを否定する者はいない。

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 自由経済圏にあることと、徹底した自由貿易や自由競争をすることとは違っている。両者をあまりに安易に重ねてはならない。

 しかも、もしも日本がこれまで開かれた自由貿易によって利益を得てきた、というのなら、この十数年の構造改革グローバリズム論はいったい何だったのだろうか。この十数年、「改革論者」は、ひたすら日本は閉鎖的で官僚主導的で集団主義的で真の自由競争をしていない、グローバル化していない、と批判してきたのではなかったか。だとすれば、戦後の日本の経済発展は、自由競争やグローバル化を制限していたがゆえの成果だといわねばならないことになるはずだ。実際、1980年代末には、「日本の奇跡」の理由は、その集団主義や官僚主導経済に求められたのであった。

 竹中論文の趣意は「TPPが国民皆保険を崩す」という議論への反論なので、上に述べたことはいわば「枕」である。とはいえ、この「枕」に書かれていることは、TPP推進派の典型的な論拠なのである。別に竹中氏に限ったことではない。

 私はいま竹中氏を批判しようというのでもないし、TPP反対論を唱えようというわけでもない。この点は前回のこの欄に書いた。ただ問題は、TPP推進論の背後に上のようなきわめて雑な自由貿易論がある、ということが気になるのである。いわば、「開国イデオロギー」というようなもので、それは次のように述べる。「世界中で自由貿易グローバリズムが受け入れられている。日本だけが遅れている。もはや選択肢はありえない」と。

 竹中氏は同論文で次のようにも書いている。「内閣府の試算でも、参加が日本経済にとって全体としてプラスに働くことが明らかになっている。国民の大多数がTPPに賛成し、大新聞の社説のほぼすべて参加に賛成…こうした状況下で交渉に参加しないといった選択肢はあり得なかった」と。

 これもあまりに乱暴な議論だ。参加が日本経済にマイナスを及ぼすという試算もある。それに、これからルールについて交渉するというのだ。まだルールができていないのにどうやって確かな算定ができるというのだろう。また、世論調査では国民の半分近くがTPP慎重論である。大新聞の社説などというものが何なのであろうか。これも竹中氏に限った話ではない。この種の議論が横行しているのだ。このようなあまりに粗雑な議論こそが、賛否どちらであれ、TPPについてのまともな論議をさまたげているのである。(さえき けいし)

佐伯啓思

産経新聞【日の蔭りの中で】より