西太平洋も「中国の海」になるかー無為無策の民主党に見る日本の危機

メルマガ版「台湾は日本の生命線!」より引用

菅直人首相を本部長とする「総合海洋政策本部」が五月、排他的経済水域EEZ)の権益を守る拠点として、日本最南端の沖ノ鳥島を「特定離島」に指定し、港湾や道路を整備するなど開発を進めることとしたのは、同島を岩と呼び、EEZ設定を不当と主張する中国への牽制のためでもあるが、その中国が早速、同島のある西太平洋に海洋調査船を派遣。国際海洋法条約によって日本のEEZ内での調査の際に義務づけられる日本への事前通告はなかった。

中国側はこの無断行為の目的について、福島第一原発事故による放射性物質の海洋汚染の調査と公表しているが、第一列島線第二列島線の間に広がるこの海域は、中国海軍にとっては台湾有事などの際に出動してくる米空母機動部隊を阻止するための重要な作戦海域。主な目的は潜水艦展開のためなど、軍事上のものと見られている。

沖ノ鳥島を「沖鳥礁」と呼び変え、それを基点にする広大なの日本のEEZを認めようとしないのは、こうした戦略上の理由からだと見られている。

同島での港湾建設に関しても、「人工の施設を作ったところで、(岩であるという)その法的地位は変えられない」と非難しているが、ちなみに中国自身は南支那海で、満潮時には水没する岩に建造物を建てて「島だ」と強弁し、そこを同海支配の拠点としている。

つづいて二十三日、今度は海保の巡視船が、宮城県金華山の東約三百三十キロのEEZ内で、中国水産科学研究院所属の海洋調査船が航行しているのを発見。無線で日本のEEZ内であることを告げたところ、やはり「海洋環境調査のため」と答えたが、これからも事前通告はなかった。調査船は約四時間後、EEZ外に出た。

中国海洋調査船宮城県沖航行は初めてだが、これが津軽海峡から西太平洋へ軍事力を進出させるルートの調査でないとは誰も言えない。

これを受け外務省は北京の日本大使館を通じ、中国側に「同意のない調査は認められない」と抗議したが、西太平洋の制海権確保に夢中の中国側が、形ばかりの日本の抗議などに真剣に耳を傾けるはずはないと考えるべきだ。

中国は南支那海でもフィリピンやベトナムに対し、覇権主義的姿勢で威圧を加えているが、それと同じことが日本に対しても行われているとの認識を持った方がいい。

中国海軍の艦隊による西太平洋での訓練が常態化へと向かうなか、それと密接に関わる海洋調査も常態化して行くのだろう。

少なくとも日本側が、型通りの抗議だけでなく、中国の行動から国家主権、国益を守るため、有効に対処できる軍事力確立や法整備にも着手しない限り、日本の周辺海域はこれほど危ない。