中国の新幹線技術「泥棒」に物言えぬ日本の政府・財界

メルマガ版「台湾は日本の生命線!」より引用


国鉄道部(省)の六月二十三日での発表によると、北京と上海を最短四時間四十八分で結ぶ高速鉄道「京滬線」(中国版新幹線)が七月一日に正式開業する。この日は中国共産党創立九十周年の記念日であり、国威発揚を狙っての開業だが、この日に間に合わせるため、三年間にわたって安全性を軽視した突貫工事が行われた模様。

同部の科学技術局長を務めた周翊民も先頃、メディアの取材を受け、「私は絶対に乗らない」と語ったことも注目されている。

周氏は、劉志軍・前鉄道部長が「世界一流」にこだわり、設計上の最高速度三百キロを三百五十キロ、さらには三百八十キロに設定しろと命じたことを暴露、安全性を犠牲にした詐欺行為だと批判した。もっとも劉氏が今年二月に汚職で失脚したため、三百キロに引き戻されてはいる。

また、その他にも安全上の問題は多々あり、それらが隠蔽されていることも明らかにした。

中国国内ではそのほかにも、技術者たちの汚職で手抜き工事が行われているとの報道もあり、安全性=人命を軽視する中共の体質、中国の民族性には、今更ながらに驚くばかり。内外を欺くことで存続してきた中共の卒寿を祝うものとしては、なんとも象徴的ではあるが。

さて高速鉄道を巡る中共の詐欺行為はまだある。こちらでの被害者は日本だ。

高速鉄道の車輌「CRH380A」は川崎重工が技術提供した「CRH2」をベースとしたものである。だが中国メディアによると、製造した中国の鉄道車輌メーカー、南車集団は車輌輸出を目的に、その技術特許を米国に申請する方針だ。同集団は独自に開発したものだと主張している。

だが、上記の周氏は「中国の高速鉄道の核心部分はみな外国製。中国にはそれらの開発能力が欠けている」と証言する。中国メディアも「車輌のほとんどが日独からの技術導入」であると報じている。

新幹線技術の中国への供与に強く反対してきたJR東海葛西敬之会長は、海外への技術供与の条件として法治、契約遵守、私的所有権確立など、政治的な安定を挙げ、あの国がそうした条件を満たしていないと指摘していたが、まさにその警告どおりの展開ではないか。

ところで、こうした詐欺行為が大手を振ってまかり通ってしまうのはなぜかといえば、もちろんそれは中共厚顔無恥、傍若無人の欺瞞体質のためでもあるが、そうした中共に物を言えず、黙認してしまう「被害者」側の事なかれ主義姿勢による詐欺行為の助長もある。

たしかに川崎重工は、中国南車が各国への高速鉄道の売り込みに乗り出したのを見て、「中国に提供した技術は中国国内で使う約束だった」として抗議した。

国交省内でも「中国は右手で握手して、左手で相手を殴るような国だ」(同省幹部)と反発の声も上がり、日本の技術を守るための勉強会を立ち上げる動きも出たのだが…。

これには「中国に車両や部品を納入する日本企業が反発し、省内でも日中関係の亀裂を懸念する声が高まった」「中国向けに車両や部品を納入する日本企業に配慮した方がいいという慎重派が抵抗し、対応策をまとめる勉強会の設置が宙に浮いている。政府は鉄道などのインフラ輸出を新成長戦略に盛り込んだはずだが、早くも『弱腰外交』が露呈した格好だ」(産経、一月十一日)というのだ。

中国メディアの特許申請の報道には「米国での高速鉄道計画の受注を巡るつばぜりあいという側面もある。川重を中心とする日本の企業連合はカリフォルニア州の計画の参入に名乗りを上げている。中国側も米国での受注を目指しており、特許取得の申請で優位に立とうという思惑がにじむ」(日経、六月二十四日)という。対中「弱腰」は自分の首を閉めることになる、と教えてくれる話である。

こうした中共側の「犯罪」から日本の利益、安全を確保するには、みなが一丸となって「防犯」に当たらなければならないのであるが、今の日本の政財界にはそれすらができないというわけなのだ。だが我々国民が忘れてはならないのは、犯罪を助長す者も取り締まらなければならないという常識論である。

どのような方面でも言えることだが、利益誘導を受け、中共を翼賛する国家の裏切り者は許さないという国民常識の確立が急務だ。