居直り


「死児の齢を数える」様なものだが、もし、あのまま麻生政権が続いていたら、今回
の大災害を逆手にとって、災いを福となす政策を実行し、今頃は日本全国が復興景気に
沸いているところである。しかし、麻生政権は丸1年に満たぬ間に憤死したのだった。
ありとあらゆる手段を使って、「政権交代」を演出したマスコミは、自分達が作った政
権である事を忘れたかの様に現内閣の批判を繰り返している。だが、まず第1に責任を
取るべきは彼らであり、その尻馬に乗って民主党に投票したバカな有権者達ではないの
か。

 しかし、よく観察すると、民主党は着実に「実績」を挙げているとも言える。彼等が
政権を取ると、真っ先に実行したのは、小沢幹事長が配下の新人議員を引き連れて北京
に赴き、胡錦濤主席の膝下にひれ伏す事であった。あの時、嬉々として主席と握手し、
記念写真に収まった新人議員達は今頃如何しているのだろうか。もう、落選後の就職の
準備は出来ているのか。それとも「お遍路」さんになって、信仰の道を選ぶのか。どち
らにしても、その時期は刻々と迫っている。

 それでも菅政権は何時の間にか、在位期間で麻生政権を追い越しているのだから、こ
の事実は重大である。国民の頭には今でも菅直人氏の、あの時の姿が焼き付いているの
ではないか。社会党の大臣でも出来なかった薬害エイズに関する内部文書を省内から
探し出し、患者団体に謝罪した時の颯爽とした姿を。だが、その裏では北朝鮮の工作人
に力を貸し、反米、媚中の姿勢を貫き通していたのだ。鳩山氏は見掛け倒しで「無知蒙
昧」である事を意外に早く曝け出し、元も子も無くしてしまった様に、お坊ちゃま的な
ところがあった。それに引き替え「市民派」の菅首相は貧乏人のしぶとい面を持ってい
るからこういう時には厄介だ。

 《21日の参院予算委員会でも菅直人首相は相変わらずの「はぐらかし」や「居直
り」答弁を続けた。「脱原発」発言、外国人献金問題−。自らが招いた政治の混迷にな
お反省の色はなし。かみ合わない論戦に野党はいら立ち、審議は何度も中断した。
・・・午前9時の質疑開始から1時間余り。野党議員は一斉に退席し始めた。(産
経)》 結局、予算委員会理事懇で討議して、再開にこぎつけている。

 「外国人献金問題」もあるが、差し当たって重要なのは「原発」問題だ。菅首相
13日に「脱原発依存」を表明したが、反発が多いと見てとると15日には「私個人の
考えだ」と修正している。《「脱原発」発言と自らが推進する原発輸出の整合性につい
てもまともな説明はなかった。塚田一郎氏(自民)は「コントロールできない商品を輸
出するのは友好国への背信行為だ」と指弾したが、首相は「新成長戦略の見直しの中で
議論すべきだ」と意味不明の答弁に終始した。民主党出身の西岡武夫参院議長は21日
の記者会見で不快感をあらわにした。「はぐらかしの答弁はもう好い加減にして頂きた
い。首相は日本の国を滅ぼす気なのか。あえてそう言わざるを得ない」》

 今のところ、原子力発電に関するあらゆる分野で最も優れた技術を保有している国は
日本だけである。今回は想定外の震度や津波にやられたが、外国には地震津波もない
ところの方が多いのだ。日本は、より一層耐震・強力な原発の開発に努めるべきだっ
た。如何なる技術も、失敗と挫折を糧にして進歩するのである。高速増殖炉「もんじ
ゅ」の実験が中断している現在、プルサーマルの実用を確立する事は資源の再利用の上
でも重要課題であった。日本の核技術が高くなればなるほど、何時でも軍事に転用でき
る事を世界に示す証となる。これは原爆を2〜30個を持つよりも遥かに強いインパク
トを与える事になるが、実際に持つ訳ではないから、カネは一切かからない。

 社民党は党是として原発に反対し、それに代わるものとして「洋上風力発電」を提唱
しているが、これが原発に代わる電源になり得ない事は素人でも判断がつく。しかし、
反対論として具体的な発電方法を示しているだけマシである。菅首相には具体的な方法
論などない。その理由は、問題を自らの延命に利用しているだけだからだ。彼の頭には
「国」など存在しないのだ。経済対策に「観光立国」を掲げ、チャイナの低所得者を対
象にした数次ビザの発行を実行するらしいが、「日本の国を滅ぼす気」という西岡参院
議長の言も決してオーバーではない。

http://karyu-seikatu.jugem.jp/?day=20110722


高志さんのコラム 「国民年金の花柳な生活」より引用