朝日を讃え産経を貶す中共メディア−野田財務相「戦争犯罪人ではない」発言巡り

メルマガ「台湾は日本の生命線!」から転載

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終戦の日の記者会見で、「『A級戦犯』と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」との考えを表明した野田佳彦財務相。六年前に提出した靖国神社に関する質問主意書で「A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」と指摘していたことに関し、その見解は今も「基本的には変わらない」と言ったのだが、中共から見れば断じて看過できないことだろう。

この日は中共の意向に従い、全閣僚が靖国神社に参拝していないなど、せっかく民主党政権中共の影響下に置かれている状況にあるというのに、それに抵抗するかのような動きを野田氏が見せたのだ。中共は相当気を揉んでいるはずである。

そこで中共の機関紙人民日報系列の国際問題紙、環球時報も十八日、「日本財務相A級戦犯発言が非難さる/言語選択器を備えるべきだと」と題する論評を配信し、問題視の姿勢を示している。

ちなみにここで取り上げるのが野田氏批判を展開した朝日新聞の十八日の社説「野田氏の発言―言葉を選ぶ器量を待つ」。

この「言葉を選ぶ器量を待つ」を環球時報は、「言語選択器を備えるべき」と誤訳してしまったようだが、それはともかく、朝日の論調を日本の良識派の意見に仕立て上げ、中国国内の反日感情を煽ることなく、日本国内で野田氏を孤立させ、以って中共からの圧力としようとの意図は明白だ。

そこではこの朝日社説の次の部分を簡略引用している。

―――野田氏は現職閣僚であり、まもなく行われる民主党代表選に立候補する意向を固めている。首相になれば過去の歴史を背負い、日本国を代表して発言しなければならない。行動を慎み、言葉を選ぶのが当然だ。

―――外交を大切にするのなら、誠意ある言葉で説明すべきだ。(中略)中国や韓国のみならず、東京裁判を主導した米国との関係にも良い影響は及ぼすまい。

そしてその上で、さらに「悪玉」を引っ張り出し、「善玉」としての朝日を印象付けようとするところが、いかにも中共らしい。「悪玉」の名は「右翼メディア産経新聞」。その十八日の社説から以下のような部分を取り上げながら、「朝日新聞と相反し、右翼の産経新聞は逆に野田の発言を大々的に称賛し、その発言は日本政府のもともとの立場であり、当然のものなのだと評価している」などと書きたてるのだ。

―――16日付の韓国主要紙は(中略)「極右、軍国主義的な歴史観をさらけ出した」(朝鮮日報)などと批判した。

(※上の部分は正確には十六日に配信の報道記事からの引用だ)

―――韓国の論評は、野田氏の発言を「日本政府が首相談話などを通じて明らかにしてきた公式な立場とも異なる」とも批判している。この批判も当たらない。

―――日本の過去を一方的に批判した昨年の菅直人首相談話や平成7年の村山富市首相談話を指すとみられるが、これらは当時の内閣の歴史認識を示したもので、戦犯の法的地位の問題とは無関係だ。

―――野田氏の質問主意書に対し、当時の小泉純一郎内閣は、国内法上は戦犯は存在しないとする答弁書閣議決定した。これが日本政府の本来の公式な立場である。


ところで、中共がどんなに褒めたたえようとも、朝日の社説は根本的に事実誤認に基づく稚拙な内容だ。産経は十八日に配信の論説「野田氏は気概見せよ」で、これを次のように批判している。

―――18日付の朝日新聞は社説「言葉を選ぶ器量を待つ」で「問われているのは刑を終えたか否かではなく、彼ら(A級戦犯)の行為が戦争犯罪かどうかであり、歴史認識である」と野田氏を批判した。

―――だが、仮に法律論ではなく歴史認識の問題だとしてもA級戦犯を十把一絡げに論じるのは無理がある。

―――東京裁判ではインドのパール判事が被告全員無罪論を展開したことはよく知られるが、オランダのローリング判事も広田弘毅元首相、木戸幸一元内相ら5人を無罪とする意見書を提出している。朝日新聞こそ言葉を選ぶべきではないか。

野田氏が問題提起したのは「刑を終えたか否か」なのだ。産経のこの論評を読むと、朝日の社説は稚拙などではなく、むしろ反日情念に駆られ、故意に読者を欺こうとするものではないかと感じる。

これまでも反日情念に駆られるばかりに、中共反日宣伝工作に加担し続けてきたのが朝日である。そしてその朝日の反日論調を日本の代表的な世論を反映したものとでっち上げ、自らの利益を得ようとするのが中共なのだ。

かつて中華帝国周辺諸国を臣属させることができたのは、もちろん周辺諸国のなかに中華帝国に呼応し、翼賛する勢力が存在したからだが、それと同様に中共も、日本を弱体化し東アジアでの覇権確立を目指す国家戦略を遂行する上で、日本の媚中勢力の呼応、翼賛を求めているのである。

そしてその勢力の一つが民主党政権であるから、野田氏のような靖国神社を蹂躙できない閣僚の存在は邪魔であるし、危険極まりないと思うわけだ。

さらにもう一つの勢力が媚中メディアである。この環球時報の記事を読めば明らなように、その有力な一つが朝日であり、逆に恐るべき存在が、史実を掲げ、中共媚中メディアの反日宣伝を木っ端微塵に打ち砕いてしまう産経新聞なのである。

このように中共に褒められる政治家、メディアは日本の敵であり、逆に中共から蛇蝎のごとく嫌われる者が、日本を中共から守る有用な存在であるとする見方を、日本国民はしっかりと持っておいた方がいい。

野田氏は今後も、中共から「右翼」と罵声を浴び続けることが出来るだろうか。