未熟素人内閣”

新内閣は“未熟素人内閣”というべき、今抱えている難題の打開に関してまったく期待できない陣容だと思っています。日刊ゲンダイは、“野ダメ内閣”と命名していますが、まさに言い得て妙です。

まず、松下幸之助氏が、晩年側近に「政経塾を作ったのは失敗だったかもしれない」と言った話が伝わるほど、頭でっかちで現状打開能力に欠ける政治家の代表ともいえる野田氏が首相になったこと自体が問題です。野田氏は菅内閣財務相に在任中、馬鹿の一つ覚えのごとく「市場を注視する」と繰り返し、財務省のいいなり、あるいは日銀のいいなりの操り人形のごとく自ら動かず、ほとんど無意味な為替介入を2回行ったものの、為替は90円台前半から76円台に上昇し、円高不況の主犯といっていいでしょう。

裏情報ですが、今回の代表選では憲政史上初めて財務官僚が暗躍し、野田首相誕生の原動力になったと言われています。野田氏は財務相時代から事務次官勝栄二郎氏のいいなりで、
今回の野田内閣が“勝栄二郎内閣”と称されている所以です。

松下政経塾出身の閣僚は、元福島県知事・佐藤栄佐久の娘婿である玄葉光一郎氏だけ、あとは官房副長官長浜博行氏が政経塾の後輩で、長浜を入れても野田、玄葉の3名です。

冒頭“未熟素人内閣”と言ったのは、外交に疎い玄葉も含めて、「私は安全保障に関して素人だが、これが本当の“シビリアンコントロール”だ」と勘違いの発言をして失笑された一川氏、農政が専門でおよそ経済全般に精通しているとはいえない鉢呂氏、そして極めつけは今最も重要な課題を抱える財務相安住淳早稲田大学雄弁会出身)のような初入閣でしかも財政の素人が就き、野田以上に財務官僚のいいなりになるのは火を見るよりも明らか。この人事こそ、まさに“勝
栄二郎内閣”の目玉人事でしょう。

さらに、各分野に精通し、睨みを効かせなくてはならない官房長官のなり手が見つからず、酒量だけでは野田に負けないという飲み友達の藤村修を起用し、当の藤村は「本当はやりたく
ない」と周辺にもらすほどです。

この内閣は、菅直人がめちゃくちゃにした震災復興と経済再生、そして外交を立て直さなくてはならないのと同時に、菅直人や前原、そして菅主導で党ぐるみの献金疑惑に象徴される“半島疑惑”の解明を行って、国民の民主党不信の払しょく(場合によっては民主党解体)を行わなくてはならないと思っています。そうした観点からも、法務大臣菅直人に近い平岡秀夫氏が就任したことはブラックジョークです。千葉景子江田五月と左翼崩れのおかしな法相に続いて、ひどい人選です。

“どじょう鍋内閣”だの“どじょうすくい内閣”だの、マスコミが持ちあげているなかで、また、“だれがやっても菅直人よりはまし”という意識を国民が共有するなかで、内閣支持率が65%という結果が報じられています(読売新聞)。

支持の理由が“首相が信頼できる・・・17%”、“政策が期待できる・・・12%”に対して、圧倒的に多いのが“これまでの内閣よりよい・・・48%”。マスゴミよりも冷静な世論に、ひとまず安心しました。

中西立郎

メルマガ「甦れ美しい日本」から転載