出鱈目な辞書

2011.09.25 Sunday00:01

 野田首相の訪米はどうやら無事に終わるらしい。と言うよりもメディアが好意的に報
じているという方が良いのかも知れない。毎年交代が定着してしまった様な日本の首相
だが、一人ずつ観察してみると有能な人ほど寄ってたかって引き摺り下ろされている。
しかも、その先頭に立つのは日本のマスコミなのだ。安倍内閣の時、首相の訪米を前に
して俄かに燃え上がったのは「従軍慰安婦」問題だった。

 安倍さんは歴代首相の誰一人としてなし得なかった「戦後レジーム」からの脱却を実
行した人である。憲法改正の第1歩となる「国民投票法」や「教育基本法」の成立など
瞬く間に遣って退けてしまった。そのまま突っ走られたら大変だと危機感を持った連中
が企んだものの一つが「訪米」を失敗させる事であった。何も成果が無く帰って来れ
ば、それだけ内閣は弱体化する。彼らの使った戦術は「従軍慰安婦」問題をアメリカで
盛り上げ、安倍氏に外交上のダメージを与える事であった。

 この問題が米下院で取り上げられると、日本のメディアはこの世が終わるかの様な大
騒ぎをしているし、有名ジャーナリストが「したり顔」でコメントを発表するなど、騒
ぎはエスカレートした。今から僅か4年前、安倍内閣の活動に冷水を浴びせた「従軍慰
安婦」が、又ぞろ、顔を出し始めている。歴史教科書を巡って採択の可否が問われてい
るが、現在使われている自虐的歴史教科書には「慰安婦」という言葉が出ているらし
い。「慰安婦」という言葉が生まれたのはシナ事変が始まって間もなくだと言われる。
南京攻略戦の時、日本軍の兵士の中にはシナの婦女子に暴行を加えた者が実際にいた。
しかし、実行犯は憲兵隊に捕まり軍法会議に掛けられ処罰されている。軍律はどの国よ
りも厳しかったのである。

 この時、陸軍の上層部ではこれから先戦いは長引くし、動員される将兵の数も桁違い
に多くなる。若い彼らに禁欲を強制すば、どうしても強姦事件は起きるだろうし、士気
にも影響する。いっそのこと内地から業者を呼んで駐屯地に遊郭を作ろう。そうすれ
ば、兵士が性病に感染する危険も防ぐ事が出来る。「遊郭」といっても内地で見られる
様な豪華な建物ではなくバラックで、「慰安所」という名称をつけた。遊郭で働く女は
「娼妓」と呼ぶのが正式で、俗に女郎と呼ばれていたが軍では慰安所で働く女だから
慰安婦」と名づけたのだ。「従軍」などという言葉はついていない。

 子供の教科書に出る位だから、辞書には当然分かりやすい解説があるだろうと調べて
みた。ところが正規の呼び名である「慰安婦」という項目が載っているのは「日本大百
科全書」だけで他は皆「従軍」という冠がついていた。「従軍」とは軍隊に付き従って
戦地へ行くことである。実際に従軍したのは「看護婦」と「記者」だけである。(それ
に少数の僧侶)
 ●「従軍慰安婦」=日中戦争・太平洋戦争期、日本軍によって将兵の性の対象となる
ことを強いられた女性。多くは強制連行された朝鮮人女性。
 ●「従軍慰安婦」=日中戦争や太平洋戦争中、朝鮮などアジアから女子挺身隊の名で
動員され、兵士相手の慰安所で性の相手となることをきょうようされた女性たち。19
90年代に入って韓国、中国、フィリピンなどの元従軍慰安婦から訴訟と謝罪要求が提
起された。
 以上二つの記述は、韓国やシナの辞書から引いたものではない。前者は「広辞苑」後
者は「スーパー大辞林」という日本を代表する辞書の記述だから、呆れるというより絶
望的な気分になる。全く、著者はどんな奴かツラを見てやりたい。

日本大百科全書」は次の記述で、これだけが辞書としての面目を保っていると言えよ
う。
 ●「慰安婦」= 旧日本軍の海外駐屯地で兵士達の相手をした遊女。娘子(ろうし)
軍ともよばれ、占領地の婦女子に対する兵士たちの暴行行為を防ぐ意味もあって、軍の
保護のもとに営業させた。はじめは九州地方の遊郭や水商売に携わる女性から希望者を
募ったが、次第に国内や朝鮮半島の貧困家庭の出身者にも及んだ。第2次世界大戦中は
中国奥地から南太平洋の孤島にまで派遣され、激戦地では銃を取って戦い兵士と運命を
共にする者も多かった。(佐藤農人氏)

高志さんのコラム「国民年金の花柳な生活」から転載http://karyu-seikatu.jugem.jp/?day=20110925